MLBは執筆時点でプレーオフ、地区シリーズの熱戦が繰り広げられており、ヤンキースとカージナルスの勝ち抜けが決定している。そんななか、プレーオフには進出できたものの、1試合のみのワイルドカードゲームでレイズに1-5で敗れて敗退したアスレチックスの周辺が揉めている。新スタジアムの建設を巡り裁判、さらにはラスベガスに移転するのではといううわさが出ているのだ。

事の発端はロブ・マンフレッドMLBコミッショナーの発言だ。地元紙ラスベガス・レビュー・ジャーナルに対し、「最近のオークランド市長との会議で、もしオークランドに新しいスタジアムを作ることができないならアスレチックスが移転しなければならなくなり、その場所としてラスベガスに言及した」と話したのである。ただその後「しかしラスベガスに移転する計画があるわけではない」と続けている。この発言についてオークランド市長も8日におこなわれた地元テレビ局のインタビューでも認めている。

なぜこんな「警告」が出たかというと、オークランドでの新スタジアム建設を巡って訴訟になっているからだ。現在の本拠地リングセントラル・コロシアムはオークランド市とアラメダ郡が共有している。アスレチックスは地元自治体の助成を受けて、現スタジアム近くのウオーターフロントに新スタジアムを建設し、周辺一帯を所有、運営したい計画を持つ。そのため現スタジアムの株を買い取りたい考えで、一旦郡が持つ株を市に売却することを希望したのである。しかし地元紙サンフランシスコ・クロニクルの報道によれば、アスレチックスの希望価格8500万ドルを市が拒否したのだという。

さらにオークランド市は郡が直接アスレチックスに株式の売却をすることをブロックするための訴えを起こし、裁判所は先週これを認める略式命令を出した。

アスレチックス、市、郡が絡んだなんともややこしい状況ではある。オークランド市としてはプロアメリカンフットボールNFLのレイダーズが2020年にラスベガスへ移転することが決定しており、なんとかアスレチックスをオークランドに留めておきたいという事情もあるのだ。しかし市も郡も財政が厳しい状況にあり、それぞれの思惑が絡まっているのである。

そんな状況にさらに波を立てたのがコミッショナーの発言だった。コミッショナーとしては事態を少しでも進展させようとしたのであろうが。

訴訟については次の法廷審理は11月14日に行われるということだ。はたしてこの問題はどんな決着を見せるだろうか。