【アナハイム(米カリフォルニア州)30日(日本時間31日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(25)が、野球少年たちにプロ野球選手たる姿を見せた。

「3番DH」で出場したタイガース戦で4打数3安打。本塁打は出なかったが、センター返し2本、全力疾走の内野安打1本。今季9個目の盗塁も決め、打線をけん引した。「東北・熊本復興支援ベースボールプロジェクト in L.A.」として右翼席で試合を観戦していた球児たちへ、記憶に残る勝利を届けた。

  ◇    ◇    ◇

基本に忠実に、大谷がセンター返しを放った。2点リードの5回1死二塁、1ボールから外寄りのツーシームを引っ張ることなく捉えた。クリーンヒットの中前適時打。中押し点でチームの勝利に貢献した。「タイムリーも良かったと思いますし、1打席1打席、しっかり内容があったかなと思います」。3安打、全て中堅から左方向へ放ち、大谷らしい打撃を見せた。

右翼席からの声援に、しっかりと応えた。この日、東日本大震災と熊本地震復興支援の一環として、宮城、熊本から合計17人の野球少年たちが球場を訪問。「プロ野球選手になりたい」、「メジャーでプレーしたい」と夢を持った少年たちはメジャーリーガー大谷に憧れを抱いた。目前で見学した試合前のフリー打撃では33スイング中18発。豪快な柵越え連発に少年たちは「すごい」と目を丸くするばかりだった。

試合で本塁打は見せられなかったが、お手本は示した。2本の中前打はピッチャー返しで、打撃の基本でもある。第2打席の三塁へのゴロでは全力疾走。体に染みついている基礎を実践し、内野安打とした。相手投手のモーションが大きいとみれば、すかさず二盗も決めた。野球少年たちが見守っていた試合で活躍し「お互い、いい刺激というか、僕は試合で頑張るのが一番。今日のように勝つゲームを見せられるように頑張りたい」と、あらためて誓った。

前日まで2試合連続ノーヒットだったが、1カ月ぶりの3安打で、貴重な打点も挙げた。「ヒットを打つために、勝つために自分の状態を上げたいというのを毎日思っている」と向上心は常に忘れない。その上で、応援してくれる野球少年たちの姿も大谷を後押しする。「僕自身も勇気づけられることもあるんじゃないかなと思ってます」。打って、走って、勝って。全力の1勝を届けた。

 

▼大谷が今季6度目、大リーグ通算10度目の3安打。3打席目までに3安打は、サイクル安打を記録した6月13日レイズ戦(4打席4安打)以来2度目になる。3回には今季9個目の盗塁に成功。日本人大リーガーでは05、06年の井口(ホワイトソックス)しかマークしていない2年連続の2桁本塁打&2桁盗塁にあと1個とした。