【ニューヨーク28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、ヤンキースタジアムでの初安打を強烈な一撃で飾った。

ヤンキース戦に「2番DH」で出場し、第1打席で2戦連発の26号ソロ本塁打。打球速度は通算73本塁打の中で最速の117・2マイル(約188・6キロ)だった。豪快な1発でブルージェイズのゲレロと並び、再び本塁打数でメジャートップタイ。14年イチロー(ヤンキース)以来、日本人7年ぶりとなる聖地弾で、30日(日本時間7月1日)の先発へ弾みをつけた。

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強烈な打球とスイングで、大谷がニューヨークの野球ファンをとりこにした。1回1死の第1打席。フルカウントから右腕キングの内角低めカーブを捉えた。打球速度117・2マイル(約188・6マイル)で角度25度。ピンストライプの白のユニホームを着たファンで埋まる右翼スタンドまで、あっという間に届いた。2戦連発の26号はあいさつ代わりの先制弾。メジャー通算73本の中で最速の打球速度だった。試合後、MLBネットワークの中継でヒーローインタビューを受けた。

「初回だったので、いい打席にしたいと思って行きました。いいところに(投球が)来たんですけど、しっかり振れて良かった。結果をよく出来たのは良かったかなと思います」

3年ぶりのヤンキースタジアム。メジャー挑戦の際、移籍チームを選ぶ段で本命とみられていたヤンキースを早々に選択肢から外した。そのため、1年目の18年に初見参した際は各打席でブーイングが起こり、敵地の洗礼を受けた。だがこの日は、試合前の先発メンバー発表で名前をアナウンスされると拍手と歓声で迎えられ、バックスクリーンの大型ビジョンには大谷のプレー映像も流れた。生涯ヤンキースファンと豪語する20代のニックさんも「大谷が見たかった。彼のスイングが好きだね」と興奮気味。フルスイングする度に球場はどよめき、大谷の打席結果にファンは一喜一憂した。

3年前は3試合で13打席、9打数無安打だった。14打席目でようやく放った初安打が本塁打。二刀流の元祖ベーブ・ルースも在籍した伝統球団ヤンキースの本拠地でのプレーに「名実ともに世界一のチームだと思うので、そういうところでプレーできるのもすごい光栄ですし、何回も来ることはないと思うんですけど、数少ない打席の中で結果が出たのは良かった」と充実感をにじませた。

5打数1安打1打点でチームは2連勝。ヤ軍との3戦目、30日(日本時間7月1日)には今季12度目の先発で初めて、ヤンキースタジアムのマウンドに上がる。二刀流でニューヨークを沸かせる-。まずは打者で、豪快にのろしを上げた。

◆ヤンキースタジアム ニューヨーク・ヤンキースの本拠地。マンハッタン北西のブロンクス地区に位置する。かつてベーブ・ルースがプレーした初代ヤンキースタジアム(1923年開場)に代わって09年に開場。左翼96・9メートル、中堅124・4メートル、右翼95・7メートルは初代と同じで、両翼が狭く打者有利であることが特徴。中堅後方には永久欠番の選手のモニュメントなどが展示されている。収容人員5万287人はメジャー2番目の大きさ。サッカーやアメリカンフットボールの試合でも使用される。

◆大谷のヤンキースタジアム 過去は渡米1年目の18年5月25~27日に3試合出場。9打数無安打、5三振だった。25日はチャプマンの164キロに振り負け遊ゴロ。27日は田中(現楽天)と3打席対戦し、空振り三振、四球、空振り三振。

◆日本選手のヤンキースタジアム本塁打 大谷が6人目。最近ではヤンキース時代のイチローが14年7月25日ブルージェイズ戦で放って以来、7年ぶりとなった。日本選手の本塁打はレギュラーシーズンで通算99本目。ポストシーズンでは松井秀が5本、イチローが1本打っている。日本選手第1号は、ヤンキース松井秀が本拠地デビューとなった03年4月8日ツインズ戦で打った満塁本塁打。

○…エンゼルスの先発バンディが2回途中で緊急降板した。2死二塁で1番ラメーヒューを迎えた場面で、マウンド後方で嘔吐(おうと)。チームスタッフと監督が駆け寄り、ベンチへと下がった。球団広報によれば、熱中症(熱疲労)が理由という。試合開始の時点で気温は32度も、湿気でジメジメとした暑さだった。2番手ではスアレスが急きょ登板し、5回1/3を投げ、1失点で3勝目を挙げた。