1985年にワールドシリーズの勝敗を左右する世紀の大誤審をしたことで知られる元審判のドン・デンキンガー氏が12日、86歳で死去した。

69年から審判を務めたデンキンガー氏は30年以上にわたってキャリアを重ね、ワールドシリーズにも4回携わったが、ひとつの誤審が今なお語り継がれている。

85年のワールドシリーズ第6戦は3勝2敗と王手をかけていたカージナルスが1点をリードして9回に。ロイヤルズの先頭打者のゴロを捕球した一塁手がベースカバーの投手に送球したプレーを塁審だったデンキンガー氏はセーフと判定したが、映像では間違いなくアウトのタイミングだった。

カージナルスが猛抗議するも判定はそのままで試合続行。このプレーをきっかけにサヨナラ勝ちしたロイヤルズが第7戦も制して逆転のワールドシリーズ制覇を達成することになった。

この件で脅迫状を送られてFBIが捜査する事態にもなったデンキンガー氏だが、その後も審判のキャリアを続行。94年にはケニー・ロジャースが達成した完全試合にも塁審として立ち会った。

誤審の写真を額縁に入れて保管していたという同氏は、リプレー検証が導入された2014年のインタビューで「私がワールドシリーズでしでかしたようなコールは誰にもしてほしくない。だが私はやらかしてしまった。今では歴史の一部だ。もしいま同じことが起きてもリプレーで正しい判断が下され、それで終わったんだろうと思う」と語っていた。(AP)