【アナハイム(米カリフォルニア州)1日(日本時間2日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(29)のメジャー6年目が終わった。チームは地区4位に低迷し、9年連続でポストシーズン進出を逃したが、個人では44発で日本人初のリーグ本塁打王を獲得。

投手では10勝5敗、防御率3・14で史上初の2年連続「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した。9月19日に右肘を再手術し、来季は打者に専念。エンゼルスとの契約は今季で終了し、フリーエージェント(FA)となる今オフの動向から目が離せない。

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大谷翔平はクラブハウスを出る直前、「お疲れさまでした」と一部メディアに会釈した。気のせいかもしれないが、シーズン中とは違った雰囲気のように感じた。ふと、約2週間前のことを思い出した。9月16日に右脇腹の炎症で負傷者リスト(IL)入りしてから間もない頃、大谷は試合後にクラブハウスの出入り口付近に立っていた。駐車場へ向かうため、移動用カートを待っていたのだろう。そのタイミングで、複数の日本人メディアと対面した。

その1人として、あいさつを交わした。愛用のサンダルを乗せた小さな箱を持ちながら、大谷は「お疲れさまでした」と応答した。後ろに続く記者1人1人に、目をしっかり合わせて答えていた。何げないひと言で、ごく普通の行動かもしれない。だが、明らかに雰囲気が違った。

投打でフル出場を続けていたシーズン中、クラブハウスで同僚と楽しそうに過ごしていても、どこか隙がない。試合の準備へスイッチが入れば、途端に緊張感が漂う。ちゃめっけたっぷりでイタズラっ子な印象もあるが、現場ではピリピリ感も伝わってくる。逆に言えば、それだけ気持ちが入っている証拠だ。やはり、二刀流として背負っているものは大きい。たったひと言でも、表情やトーンに違いはある。シーズンを終え、少し肩の荷が下りていたように見えた。【MLB担当=斎藤庸裕】