佐々木は6月下旬、米球界の有力アマ選手が一斉に集まる「ドラフトコンバイン」に参加した。そのこと自体が、メジャー挑戦へ心が傾いていることを示していたのかもしれない。ソフトバンクとの条件比較ではなく、将来的にメジャーでプレーするためには、何が最善の道なのか。当時、「まだ何も見えていない状況」と率直な胸中を明かした一方、21歳のアスリートにすれば、今後の数年間は心技体すべてで最も成長する、最も重要な時期。NPBで培えることの重要性を認識していたとしても、実際にマーリンズから8巡目、全体235位で指名されたことで、おぼろげだった目標が、より明確になったことは想像に難くない。
今後は、正式な手続きが済み次第、早ければ8月中にもフロリダ州ジュピターのマイナー施設でトッププロスペクトを対象とした育成プログラムに参加することが濃厚。近年のメジャーでは、有望な若手選手は、メジャーレベルでの経験則を含め、早期デビューに踏み切るケースは少なくない。特に、一塁手の層が薄く、若手登用に積極的なマ軍だけに、早ければ来季27年9月の「コールアップ」で昇格する可能性も少なくない。
名門スタンフォード大を休学するとはいえ、野球のみならず、米国のプロスポーツ界では珍しいことではない。将来的には現役引退後の復学、オンライン授業での単位修得など、球団側の学費サポートを含め、卒業するための選択肢も残されており、ためらう必要もない。
仮に、ソフトバンク入りした後、メジャー移籍するまでの数年間、または大学を卒業するまでの2年間を費やした場合、最終的にメジャーでのプレー期間はどこまで想定できるのか。少しでも長く、よりベストな状態でメジャーでプレーするためには、何が最善の選択なのか。
会見で佐々木は、口調を強めて言った。「新たな道の開拓が佐々木麟太郎の使命、宿命」。複雑なように映っても、佐々木の決断は、自らの目標に最短で近付き、より長くプレーするうえで、最もシンプルな選択だったに違いない。【MLB担当=四竈衛】



