東京都西部にある閑静な住宅街に、管理栄養士の幕内秀夫氏(62)を訪ねたのは、7月13日のことだった。23区内では35・9度を記録し、今年初の猛暑日となった。駅からの道を歩くと、ものの2分で汗だくになった。熱中症で倒れた人がいるというニュースが、全国ネットのテレビで繰り返されていた。熱中症をすぐそこに感じながらの取材だった。

 幕内氏は東海道五十三次を歩きぬいた健脚の持ち主だ。運動と熱中症と食事。このテーマにピッタリの人だった。ネットなどで事前に仕入れた情報から、疲労回復効果のあるビタミンBを多く含む食材を勧められるかと思っていたが、幕内氏の教えてくれた熱中症対策にいい食べ物は違った。詳しくは連載の第5回で説明してもらうが、日本人なら普段から口にしているもの。歴史背景と絡めた話は説得力があった。

 熱中症の症状や応急処置などについては「野球選手の肘、肩を守れ」の連載でお世話になった初森裕隆トレーナーに聞いた。4段階ある熱中症の症状。自分は3段階目まで幼少期に経験済みだったことが分かった。救急車で運ばれる一歩手前。知らないでいたことが怖くなった。ここからの1カ月は危険な季節。暑さに慣れるまでの最初の1週間は、特に注意して生活したい。【竹内智信】