日本シリーズ進出をかけた短期決戦で、２２歳の剛腕が輝いた。２点リードの７回無死一、二塁のピンチで登場したのは、５年目のソフトバンク千賀滉大投手。クルーズを遊ゴロ併殺に仕留めるなど、ロッテに傾きかけた流れを引き戻した。森、五十嵐、サファテの強力ストッパー陣に加え、戦力はさらに分厚くなった。２年連続の日本一へ、スキはない。

　これぞジョーカーの働きだ。千賀が、またも好リリーフでロッテの流れを断ち切った。２点リードの７回。先発中田が無死一、二塁のピンチをつくった場面で登場した。クルーズに直球勝負を挑み、２球目で遊ゴロ併殺に。「甘い球だったけど打ち損じてくれて、二遊間へ（打球が）いったので安心して見ていました」。続く今江はフォーク１球で遊ゴロ。わずか３球でピンチを脱出した。

　続く８回も最速１５１キロの直球を主体に３人斬り。守護神サファテへとつないだ。２イニング無安打、無失点。「ゼロで抑えられてよかったです」。第１戦では５回途中に登場。武田がつくったピンチを連続三振でしのぎ、１回２／３を無失点。ＣＳの大舞台で２２歳の剛腕が切り札となった。

　今季は先発転向へ挑戦したシーズンだった。２軍で９勝２敗。終盤昇格した１軍でも３度先発し２勝１敗と来季の柱になるため、確実に成長していた。だが、直球とフォークで三振が奪える投手として、ＣＳでは中継ぎとしてベンチで待機していた。

　ジョーカーになるため、調整法も徹した。５日、仙台でのブルペン投球。７３球すべて直球を投げた。「こんなの初めて」（千賀）。変化球を生かすためにも、オール直球で腕の振りを取り戻す練習だった。

　日本シリーズでも同じ働きが期待される。「中継ぎの方が経験がある。先発にこだわりはあるが、シーズンでは力になるところで」と役割を理解している。「前回（リーグ優勝）よりは楽しめます」。大活躍したＣＳで、思い切りビールを浴びた。【石橋隆雄】