阪神香田勲男投手コーチ(50)が26日、藤川球児投手(35=四国IL・高知)に先発転向指令を伝えたことを明かした。オーナー杯ゴルフに参加した香田コーチは25日に鳴尾浜で藤川と面談。「肘の状態もいいし問題ないと言っていたので、先発で準備してくれと伝えました」と説明した。同日早朝のテレビ番組で金本監督が先発構想を明かした。その数時間後には香田コーチが本人に伝達した形だ。

 電光石火の起用法通達には多くの準備期間を与えたい意向がある。日米通算222セーブを誇るが、NPBでの先発は03年9月19日の巨人戦が最後。今季途中加入した高知では9月香川戦のプロ初完封など5試合に先発し2勝したが、NPBとは土俵が違う。来年7月で36歳の年齢も考慮し、香田コーチは「救援で準備してからの先発は難しい」と万全の準備態勢を整えた。

 金本監督は24日の球団納会で、先発組の当確は「藤浪、メッセ、能見、岩田」と明言。藤川は残り2枠をかけ、岩崎や岩貞、秋山ら若虎と争うことになる。香田コーチは見極め時期について「どういう球を投げるかも見てみたいし、急がず」。2月キャンプの紅白戦やオープン戦で合否が判断される見通しだ。

 藤川はこの日も鳴尾浜でランニングやウエートなど5時間黙々と孤独トレーニング。涙の復帰会見翌日の25日も5時間半汗を流したが、先発挑戦に気合十分だ。「トレーニングしにきただけです。みんなもやっていること。練習のためではなく試合のための練習なので」。9回の男が初回から仁王立ちする姿を目指し、牙を研ぐ。【松井清員】

 ▼藤川は阪神在籍中の02、03年に計14試合に先発し、2勝5敗で防御率3・74。プロ初先発の02年7月21日横浜戦では、4回2失点で勝敗無関係。同年9月11日ヤクルト戦では8回1失点でプロ初勝利。03年9月19日巨人戦でプロ2勝目を挙げたのが、NPB最後の先発登板。四国IL・高知では全6試合中先発が5度あり、1勝1敗で防御率0・96。なおメジャー3年間は全登板が救援だった。