楽天松井裕樹投手(20)を分析。

 高卒2年目の松井裕が球団新記録の33セーブを挙げた。今季の2敗はともに同点から登板した試合で、セーブ失敗は8月8日日本ハム戦の1度だけ。20歳シーズンに30セーブ以上は、93年石毛(巨人)10年山口(横浜)14年西野(ロッテ)15年山崎康(DeNA)の23歳を抜く最年少記録となった。

 開幕から安定した投球を続けた。4月5日~5月6日には10回2/3を無安打に抑えるなど、被打率がわずか1割5分。1試合に3安打されたのが1度もなかった。7失点のうち4失点は本塁打によるもので、許した適時安打は7月4日田中(日本ハム)8月8日矢野(日本ハム)9月29日松中(ソフトバンク)の3本だけ。今季、30セーブ以上は両リーグで8人いたが、松井裕の適時安打が最も少なかった。

 防御率は0・87。30セーブ以上で防御率1点未満は、08年藤川(阪神)以来5人、6度目になる。過去の4人はすべて右投手で、左腕では初。いきなり抑え1年目に「防御率0点台の30セーブ」を記録したのも初めてだ。松井裕はイニングをまたいだ登板が12度もあり、63試合で投球回数は72回1/3。70イニング以上で防御率0点台は12年山口(巨人)以来となり、2リーグ制後は6人目。パ・リーグでは初めて70イニング以上投げて防御率0点台の投手が誕生した。

 与四死球率は昨年の5・82から3・73と、1年目に比べ制球力が良くなった。抑えに必要な三振を取る力は文句なく、奪三振率は昨年の9・78から12・82へアップ。2ストライクまで追い込んだ打者が186人いたが、そのうち103人から三振を奪った。防御率0点台、被打率1割台、奪三振率10・00以上と、20歳の松井裕が抑え1年目で佐々木(横浜)藤川クラスの投球を見せた。【伊藤友一】