ヤクルト山田哲人内野手(23)を分析。

 山田がトリプルスリーを達成した。38本塁打と34盗塁はリーグトップ。本塁打王と盗塁王の両方を獲得したのは金山(広島=本1・盗3)秋山(ダイエー=本1・盗1)に次いで3人目となり、同時に獲得はプロ野球史上初めてだ。

 今季のセ・リーグは打率3割台が3人しかおらず、30本塁打、30盗塁をクリアしたのはそれぞれ山田だけ。打率3割や30本塁打が何人も出たシーズンとは違い、最も価値のあるトリプルスリーかもしれない。山田は2冠以外に打率、打点、安打がリーグ2位。この5部門すべて上位に食い込むのは難しい。5部門3傑入りが6人だけで、オール2位以内は58年長嶋(巨人)に次いで2人目だ。

 盗塁が昨年の15個から倍以上の34個に増えた。今季は積極的に走った。昨年は初球に走ったのが2度しかなかったが、今季は16度走ってすべて成功。投球数別の盗塁数は2球目の8個を大きく上回り、初球の16個が最も多い。2球目以降の盗塁数は昨年の13個から18個と5個しか増えておらず、積極的な走りがトリプルスリーにつながった。盗塁は大幅増も、盗塁死が5個から4個に減り、盗塁成功率は昨年の7割5分から8割9分5厘へアップ。2リーグ制後の盗塁王では歴代3位、セ・リーグの盗塁王では92年飯田(ヤクルト)の8割9分2厘を抜いてトップの成功率を記録した。

 長打力のある二塁手は少ない。二塁手の本塁打王は37年秋の高橋(イーグルス)82年落合(ロッテ)95年小久保(ダイエー)に次ぎ4人目で、セ・リーグでは初。二塁手の100打点以上は6人、7度目。3冠王の82年落合は100打点に届かなかった。日本人の二塁手では、38本塁打が97年小久保の36本を上回る最多本数となり、「打率3割・30本塁打・100打点」は85年岡田(阪神)97年小久保に次いで3人目だった。【伊藤友一】