196センチのビッグな新人が、ダルビッシュを目標にプロの扉を開いた。広島ドラフト5位の松山聖陵・アドゥワ誠投手(18)が、松山市内で仮契約を結んだ。契約金3000万円、年俸480万円(金額は推定)。ビッグな男がセ界王者の一員に加わる。

 幼少期から同級生よりも頭一つ抜き出るほどの長身は、広島ではエルドレッドに並ぶチーム最長身。ナイジェリア人の父アントニーさんは185センチ。母純子さんも元女子バレー・ダイエーのセンターとして活躍した身長180センチの元アスリートだ。まだ伸び盛りの18歳は靴のサイズも30センチで、1年目にしてエルドレッド超えの可能も秘めている。

 ドラフト後、筋力トレーニングを強化したとはいえ、プロとしてはまだ線が細い。目標に掲げるのは、日本球界だけでなく、世界で活躍するダルビッシュ(レンジャーズ)だ。「高校時代は体の線が細かったけど、今はすごい体になっている」。

 兄の大(まさる、東農大北海道オホーツク2年)は東北時代にダルビッシュを指導した若生監督が指揮官を務めた九州国際大付時代に指導を受け、同監督の著書をもらった。ダルビッシュが天井に目標を貼っていたことを参考に、日本ハム大谷が162キロを計測した新聞紙面を貼っている。「自分に負けないようにしたい。自分がやるかやらないかの世界なので」。体や夢に負けない高い志が最大の武器。目指すは鯉のダルビッシュだ。【前原淳】

 ◆アドゥワ誠(まこと) 1998年(平10)10月2日、熊本市生まれ。父はナイジェリア人、母は日本人。出水南小1年の時に熊本中央リトルで野球を始め、出水中では熊本中央シニアに所属。松山聖陵では1年秋から登板。今夏の愛媛大会では41回2/3を投げて防御率1・30と好投し、同校を初の甲子園出場に導いた。甲子園では初戦で準優勝した北海に惜敗。196センチ、80キロ。右投げ右打ち。