右足首に不安を抱えながら出場を続けてきた日本ハム大谷翔平投手(22)が、アクシデントに見舞われた。オリックス2回戦(京セラドーム大阪)の1回、三塁ゴロに倒れた走塁の際に、左ハムストリングス(太もも裏)を痛めて途中交代した。大阪市内の病院で検査を受けた結果、左大腿(だいたい)二頭筋の肉離れと診断された。実戦復帰までは4週間を要する見込みで、今日9日に登録を抹消されることになりそう。チームも大敗で4連敗。連覇を狙う昨季王者が、窮地に立たされている。

 試合終了から3時間がたっていた。大谷はトレーナーに付き添われ、病院から宿舎へと戻った。1回の走塁で痛めた左ハムストリングス(太もも裏)は、肉離れと診断された。「トレーナーに聞いてください。僕からは何も言えないので」。球場を出る際から、一貫して口を閉ざしたが、沈痛な面持ちが胸の内を代弁していた。

 三塁ゴロに倒れた第1打席だった。歩幅が合わずに禁止されている右足でベースを踏み、表情をゆがめた。足を引きずるようにベンチに戻り、トレーナー室へ直行。週末の敵地とあって病院の手配に時間がかかったが、待っていた検査結果は非情だった。左大腿(だいたい)二頭筋の肉離れ、症状は中程度の2度(3度で重傷)。実戦復帰までは4週間を要する見込み。右足首の不安を抱えながら出場を続けてきたが、今日9日には登録を抹消され、再びリハビリ生活に戻ることになる。

 WBCの出場を見合わせ、慎重に対処してきた。練習メニューに制限をかけ、走塁でも栗山監督から全力疾走を禁止されていた。左足でベースを踏むことも再発防止のためにつくったルール。この日の試合前にはブルペンで栗山監督が「強度は100(%)に近い」と言うほどの投球練習を行った。そこまで回復してきたのも、それでも投手復帰には慎重なのも、後退することなく完全復活への道を綿密に練ってきたから。だが青写真は無情にも、崩壊した。

 大谷を欠いた打線は、9回に1点を返すのが精いっぱい。4連敗で最下位のまま、首位楽天とのゲーム差は4・5に広がった。栗山監督も報道陣の問いかけには応じず、無言でバスに乗り込んだ。1つの負け以上に重たい、悪夢のような黒星。昨季のリーグ覇者が、連覇へ向けて窮地に立たされている。【本間翼】

 ◆大谷の離脱 負傷による出場登録抹消は過去1度あり、新人時代の13年4月13日オリックス戦で右翼の守備中に右足首を負傷。軽度の内反捻挫のため同14日に登録抹消され、5月4日に復帰した。

 ◆大谷の右足首負傷 昨年10月26日の日本シリーズ第4戦、8回の第4打席で遊ゴロを放った際、一塁へ駆け込み右足からベースを踏んだときにひねった。同11月の侍ジャパン強化試合(メキシコ戦)で再発。足首かかと部分にある三角骨に発見された骨棘(こっきょく)が神経を圧迫し、痛みが続いた。WBC日本代表では当初、投手を断念して野手で出場する方向だったが、最終的には野手でも不参加が決まった。