本塁付近に位置し、生還の確認役だった吉本塁審がマイク説明。「マレーロ選手が本塁を空過し、その後にアピールがあったので得点は1点で試合を再開いたします」。ざわつきがどよめきに変わった。すぐに福良監督が審判団に確認。ビデオ判定を要求も通らなかった。記録は同点となる適時三塁打。マレーロは来日初安打、初打点となったが、喜び半分となった。

 「自分では踏んだつもりだった。こんなことは初めて。本塁打にならず、勝ち越せなくてガッカリした部分はあった」

 よもやの出来事に、福良監督も首をひねった。「何が起こったのか、分からなかった。(追い越せずに)嫌な流れだったけど…。ロメロがよく打ってくれた」。延長10回には4番ロメロのサヨナラ2ランで決着。来日2年目で初めて二塁を守った6番モレルも2安打1四球と貢献し、助っ人トリオが安打をマークした。オリックスの外国人野手3人がスタメンに並ぶのは14年8月13日の西武戦以来。球団3年ぶりの超攻撃的布陣が機能して、交流戦首位をキープした。

 「プレーする中で、チームが勝つことがゴール。いろいろあったが、勝ててよかった」。大きなインパクトを残したデビュー戦を終えたマレーロは、また笑顔に戻った。負ければ踏んだり蹴ったりだったが、勝ったことで救われた。【大池和幸】