7度目の出場で、初めてダイヤモンドを1周した。全パの日本ハム中田が9回、球宴初本塁打をバックスクリーンにたたき込んだ。「よかったです。ひさびさに気持ちよかった。シーズンに取っておきたかったね」。過去にはフェンス直撃二塁打の際、塁上で腕立て伏せのパフォーマンスをしたこともある和製大砲が、ようやく描いた夢舞台でのアーチだった。

 3ボールからの4球目。フルスイングをすることは決めていた。「四球は一番かわいそうだし、どんな球でも振ろうと思っていた」。DeNA山崎康の真ん中144キロ直球は、吸い込まれるように、バットと衝突した。

 今季は打率2割2分3厘、11本塁打と不本意なシーズンを送っている。飛距離が伸びず、悩みも尽きない。それでも持ち前のフルスイングが、自信を取り戻させてくれた。空振り三振に倒れた5回の第2打席。体勢を崩すほどの豪快なスイングに、場内はざわついた。「まだ僕のスイングでもスタンドが沸くんだなぁと思った。ゴウ(筒香)とかスイングスピードの速い選手もいるのにね。それが一番うれしかった」。自身の最大の武器を、再確認した。最終打席の1発へとつながった。

 個人賞には手が届かなかった。「タイミングもあるしね。(敢闘選手賞の西川)遥輝も喜んでるんじゃない? よかった」。賞金よりも大事なものを、手にした顔だった。【本間翼】

 ▼中田が9回に球宴出場16試合目で初アーチ。本塁打は3ボールからの4球目を打ったが、球宴でカウント3-0からの1発は、60年第1戦山内(大毎)90年第2戦清原(西武)93年第1戦山本(ダイエー)01年第2戦松井(巨人)に次いで5本目。また8回には西川も本塁打。日本ハム勢のアベック本塁打は72年第1、第2戦に阪本、大杉が記録して以来45年ぶり3度目となった。