球界を代表するリードオフマンの称号だった。オールスターでの先頭打者弾は、史上9人目。96年にイチロー、01年は高橋由、直近では12年に陽岱鋼がマークしている。「1発が打てる1番打者」としての階段を着実に上がっている。ただ、秋山本人の理想とは重ならない。今季は前半戦で16本塁打をマークし、すでに自身の最多本塁打を更新しているがスタイルは一貫している。

 秋山 それは自分でも分からない。本当に偶然だと思っている。やはりそこを追い求めると自分のバッティングは崩れていくと思うので、自分としてはヒットの延長線上という考えに変わりはない。だから、ホームランを打ちたいという欲もないんです。

 無欲から生まれる1発に価値がある。2年前のオールスター第2戦の本塁打は、自身の球宴初安打だった。そのシーズンは216安打でイチローが持つ日本記録を塗り替えた。バットマンが、着々と成長直線をたどっている。3日からは本拠地メットライフドーム、西武線沿線で秋山の「ダゲキング」ポスターが掲出されている。「『ダゲキング』は中村さんじゃないかと…。このフレーズは気になりますね。でも、このフレーズが恥ずかしくないように、コツコツと頑張ります」と控えめに終始した。

 堅実な男が、浮かれることなく、淡々とダイヤモンドを周回した。【為田聡史】