アッキャマンが御礼のギータ斬りだ。阪神秋山拓巳投手(26)が8年目で初出場した「マイナビオールスターゲーム2017」で2回を1安打1失点に抑えた。デスパイネに1発を浴びたが、3冠王の柳田から真っすぐで空振り三振を奪い、内川や秋山、レアードらパ・リーグの強打者を凡打に料理した。

 黒いバットが空を切った。念願の夢舞台に立った秋山が、宣言通りにターゲットの大砲から三振を奪った。3回2死の場面。打席に立つソフトバンク柳田にオール直球勝負を挑むと、カウント2-2からの5球目は外角低めにズドン。146キロの直球で空振り三振を奪った。

 苦節8年目でつかんだ球宴切符。秋山は「見逃し三振を取りたいと思う。真っすぐであればいいかなと思います」と宣言し、対戦したい打者として打撃3部門でパ・リーグトップに立つ柳田の名前を挙げていた。「見逃し三振は難しかったですけどね」と笑ったが、公約をほぼ守った。

 先発菅野の後を受けて3回から登板した。3回を3者凡退で抑えたが、4回には1死から4番デスパイネに直球をジャストミートされてバックスクリーンにぶち当てられた。2回1安打1失点、2三振。28球中22球がストレートの投球に「やっぱりいろんな球(球種)を投げないと。改めて思った」と、振り返った。

 秋山にとってスターが集う球宴は勉強の場だった。「いろんな人と話が出来た。調整法とか気持ちの持ち方を聞けた」。ヤクルト小川からは、メンタルトレーニングについて助言を受ける機会もあった。金本監督が球宴初出場の秋山と梅野に「聞き魔になれ」と指令したが、その教えを忠実に守った。

 後半戦の自身初登板となる21日ヤクルト戦(神宮)に向けて、万全の準備を進める。「もう1回、開幕くらいの気持ちで。順位争いに向けてどんどん大事な試合になってくる。そこに自分も入っていけるように、食らいついていけるようにしたい」。この日のスタンドには愛媛在住の両親を招待した。苦労を重ねて最高のプレゼントを贈った孝行息子が、勝負の夏も白星を重ねる。【桝井聡】