開幕直後の週末の西武第2球場。リハビリに励む耳に、真横のメットライフドームからデーゲームの歓声が入る。「本当に嫌で…。どうしても焦る気持ちが出ちゃうんですよ」。3月5日のWBC強化試合キューバ戦で受けた死球で離脱。近くても遠い、戻るべき場所。もどかしさと必死に闘った。「(気持ちの)浮き沈みが激しい時期が長かった。100%の力で野球が出来ない経験は今までなかったので。つらかった」。

 周囲のげきが支えになった。星育成コーチからは「回復してそのまま(1軍に)帰るんじゃない。パワーアップして戻らないと」と励まされた。「自分だけの力では無理だったかもしれない。今日もチームの勢いに乗せてもらった。自分だけのヒットじゃない」と感謝を忘れなかった。

 負傷から5カ月。待望のバットが戻ってきた。思い通りにならなかった日々も成長への糧。「いい期間を過ごせた」と振り返られる。「ここから100%、全力を出し切りたい」。ここぞで決める千両役者。フルスイングで、チームを再加速させていく。【佐竹実】

 ▼西武が10年5月5日楽天戦(○19-3)以来、チーム7年ぶりの1試合17得点を挙げ大勝。61勝41敗2分けで06年以来の貯金20とした。これでパは貯金20以上が3チーム。両リーグを通じ、貯金20以上が同日に3チームは06年9月28日のパ・リーグ(日本ハム28、西武26、ソフトバンク20)以来。