18歳のルーキーがチームを救った。楽天のドラフト1位、藤平尚真投手がロッテ戦で5回を無失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。3度目の先発で手にした白星は、今季の高卒新人投手一番乗り。千葉出身で、幼少期からなじみのあるZOZOマリンで毎回の7三振を奪う2安打投球を披露。前週全敗だったチームの連敗を6で止めた。

 これぞスターだ。一生に1度のプロ初勝利を、これ以上ない場面で決めた。ヒーローインタビューに立った楽天藤平は背筋をピンと伸ばして言った。「チームの連敗が続いていた。それを止めようという気持ちでした。チームが勝てたのが一番。本当にうれしい」。りりしい表情を崩さず、ルーキーらしからぬ頼もしい言葉を並べた。

 今季ワースト6連敗中の空気を一新した。千葉出身、小6時にはロッテのマリーンズジュニアに所属したこともある。「すごく好きな球場」というZOZOマリンで、特有の浜風を逆手に取った。上ずる直球はつり球に使った。変化球は丁寧に低めに。毎回の7奪三振、四球1つの安定した内容で、スコアボードに5つのゼロを刻んだ。

 飽きっぽい藤平少年が、飽きなかったのが野球だった。習字、剣道、空手にピアノ…。習い事を体験してもすぐにやめた。しかし投手への情熱は絶えなかった。楽天入寮時には「田中さんのような選手になりたい」。かつてヤンキース田中が住んだ部屋で青写真を描いた。高卒新人最速白星は、大エースへと続く長い道のりのスタート地点にふさわしい。