さすが肝っ玉ルーキーや! 阪神ドラフト1位の大山悠輔内野手(22)が、初対決となった球界のエース巨人菅野に先制パンチを浴びせた。1回、2死二、三塁の好機で三遊間をゴロで破り、2者を迎え入れた。2点リードを守れず、チームは延長戦の末にドロー。今季の巨人戦負け越しが決まったが、大山のルーキーらしからぬ活躍で広島の優勝決定をかろうじて阻止した。

 大山が巨人菅野との初対決で大物ぶりを見せつけた。初回2死二、三塁で、菅野が投じた2球目の内角高め152キロをはじき返した。胴上げを心待ちにするマツダスタジアムから、悲鳴の聞こえてくるような打球が三遊間を抜けた。二塁走者の糸井も生還し、一気に2点先制に成功した。

 大山 (菅野は)いい投手なのでどんな形でも先制点を取ろうと思い、必死に打ちにいきました。抜けてくれて良かったです。

 一塁ベースに到達すると、ほっとした表情を見せた。10日DeNA戦(甲子園)以来、自身15打席ぶりのヒットが先制タイムリーとなったからだ。菅野と初めて相対した打席で、すぐさま結果を残す強心臓ぶりが頼もしい。

 野球を始めたのは小学1年のとき。そのころから、センスの良さを見せつけてきた。「(大山は)三振をして(ベンチに)帰ってくることは、ほとんどなかった」。当時の指導者が今も忘れないほどミート力が高かった。豪快なスイングが持ち味だが、確実性を増すためにコンパクトな振りを忘れないようにしている。

 8月29日から15試合連続クリーンアップでスタメンを務めてきた。重圧を感じながら9月打率は1割6分3厘と低迷しているが、この日の一打が打撃上昇のきっかけになるかもしれない。

 試合後は「結局チャンスで打てなかったので、意味がないです」と、9回と11回の凡退で勝ち切れなかったことを嘆いた。それでも、クライマックスシリーズで対戦するかもしれない巨人菅野を打ったことには大きな意味がある。負ければ首位広島のVを許す可能性のあった一戦で、ルーキー大山がひと仕事してみせた。【真柴健】