虎一筋17年の阪神狩野恵輔外野手(34)が今季限りで現役を引退することが16日、分かった。今季は伸び盛りの若手にチャンスを与えるチーム方針もあって、1軍出場は5試合にとどまっていた。この日、2軍施設のある鳴尾浜球場で練習した狩野は「今日は(コメント)なしで」とだけ話した。近日中にも発表され、週明けに引退会見を行う予定だ。

 波瀾(はらん)万丈のプロ野球人生だった。00年ドラフト3位で前橋工から阪神に入団。強打の捕手として期待された。09年には初めての開幕スタメンマスクをかぶり、自己最多の127試合に出場。だが、10年秋に腰を痛めて手術。11年に外野手登録となったが再発を繰り返した12年オフに育成契約となった。

 諦めない姿が共感を呼んだ。13年に不死鳥のように復活し、支配下登録された。昨季は66試合に出場。勝負強さとパンチ力を武器に「代打の神様」として歓喜の主役にもなった。チームメートからの人望も厚く今季から選手会長も務めていた。阪神は15日に39歳安藤が引退会見を行ったばかり。V戦士が立て続けに引退を決断。さみしい秋を迎えた。

 ◆狩野恵輔(かのう・けいすけ)1982年(昭57)12月17日、群馬県生まれ。前橋工から捕手として00年ドラフト3位で阪神入団。09年に主に捕手として127試合に出場。11年から外野手登録。腰を痛めて12年オフに育成契約となったが、13年シーズン中に再び支配下登録。ここ数年は代打の切り札として勝負強い打撃を披露していた。181センチ、86キロ。右投げ右打ち。