ソフトバンクが楽天に逆転勝ちし、1965年(昭40)の巨人以来、52年ぶりの91勝をマークした。もちろん89年の福岡移転後最多で、54年の南海に並ぶ球団史上3位タイの勝利数だ。この日は高田が2号ソロを放てば、福田が逆転の2点二塁打と伏兵が大活躍。CS、日本シリーズに向けて、28人のメンバー争いが激化する中、残り7試合でさらに勝ち星を重ねていく。

 CSで戦うかも知れない楽天に、連敗するわけにはいかなかった。1点差に迫った7回、なお2死一、二塁。福田が迷わず初球を振り抜いた。中堅手の頭上を大きく越える逆転のタイムリー二塁打。打たれた則本は本塁後方で右手を地面にたたきつけて悔しがった。「相手は日本を代表する投手。甘い球が来たら1球で仕留めようと思っていた」と、落ち切らないフォークを逃さなかった。

 3回には高田が先制2号ソロ。工藤監督は「勝つことはすごく大事。消化ゲームは作らない。CSに向けて、どうやって28人を選んでいくか。CSで対戦の可能性がある則本君から打てた。使う方にとっては悩ましい」と福田、高田の活躍にうれしい悲鳴を上げた。

 16日にリーグ優勝を決めた後、モイネロ(左肘の張り)、柳田(右脇腹損傷)、東浜(腰の張り)と主力3人が登録抹消。明石も前日23日の楽天戦で帰塁した際に右手親指を突き、守りしかできない状態になるなど、故障者が続出。リーグ優勝後は前日まで1勝4敗と勝ちにも見放されていた。

 この日は9戦ぶりに先制。16日の優勝決定日以来、中7日で岩崎、サファテの必勝リレーで1点差を逃げ切るなど、本来の形で今季91勝目をつかんだ。91勝はV9初年度の65年川上巨人以来で、52年ぶりに歴史の扉をこじ開けた。内川、柳田の新旧4番もCSには間に合う予定で、野手15人の枠の争いもさらに激化する。福田は「CSメンバーに厳しいので、しっかりアピールしていかないと」と生き残りをかける。残り7試合もアピール合戦で、工藤ホークスが白星を積み重ねていく。【石橋隆雄】