右足腓骨(ひこつ)の骨折からわずか48日、阪神ランディ・メッセンジャー投手(36)がマウンドに帰ってきた。27日、ウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)で先発し、予定の2回を1安打無失点に抑えた。最速149キロを計測して「状態に問題はない。久々の登板で、1イニング目は興奮し過ぎて力が入ったけど、2イニング目は落ち着いて投げられたよ」と振り返った。

 2四球を与えたことには「変化球の精度はよかったけど、直球のコントロールが納得いかなかった」と不満。それでも、投げられる状態にまで回復したことに意味がある。

 おとこ気の37球だった。8月10日の巨人戦で負傷し、米国で手術。鳴尾浜でリハビリを開始したのが8月29日だった。戻れる日だけを信じて、毎日キャッチボールを続けた。雨が降ってもやめず、信念を曲げなかった。この日、自分の名前がコールされると、野球を始めたばかりの少年のようにマウンドまで走った。骨折したはずのメッセンジャーが、走っている-。スタンドのファンを騒然とさせた。

 吉報を伝え聞いた金本監督は「最終戦に投げるかも分からんな。(回復が)早いね。この間(25日)のブルペンもよかった」とシーズン中の復帰を示唆した。今後10月1日に行われる2軍練習試合での調整登板を経て、同6日の今季最終戦(中日戦、甲子園)で先発する可能性も出てきた。

 メッセンジャーは「そこ(CS)を目標にやっていく。今日の登板は、その大きな1歩になった」と手応えを口にした。クライマックスシリーズの登板がかなえば、虎を85年以来の日本一に押し上げるため働く覚悟。熱いハートを持つ大黒柱が、虎のために戻ってきた。【真柴健】