広島大瀬良大地投手(26)が本拠地最終戦に先発し、3年ぶり2桁勝利をマークした。2回以降毎回安打を許すなど7回7安打も、1失点で耐えた。規定投球回にも到達し、ポストシーズンの先発入りにも大きく前進。さらに、この日解禁した縦に落ちるスライダーがポストシーズンで使えるめども立った。収穫たっぷりのマウンドになった。

 今季最多121球目で山崎を遊ゴロに打ち取っても、大瀬良は表情を崩さなかった。毎回のように走者を許したが、ヤクルト打線を見下ろして投げた。最後まで強気な投球を崩さず、7回1失点。今季最終登板で、ともに3年ぶりの規定投球回、2桁勝利をゲットした。

 「姿、形から、気持ちの持ち方から全部まるっきり見下ろして投げてやろうと思った。気持ちも強く持てるかなと。そこは意識しました」

 自滅から失点する登板が続いていた。技術面だけでなく、精神面の影響もあった。前回から意識改革。昨季、黒田氏に言われた言葉も思い出した。「マウンドを降りるまでは笑顔を見せないように」。誰よりもマウンド上で戦っていた背中が手本となった。

 解禁した新球も有効だった。カットボール、スライダーに加え、120キロ前半の縦に曲がる「縦スラ」でヤクルト打線を惑わせた。一辺倒な力勝負に緩急が加わった。「思う以上にコントロールできたので、1つ球種が増えたと思います。ドンドン使っていきたい」。大きくアピールしたポストシーズンでの先発でも武器となりそうだ。

 2年前、中継ぎで敗戦投手となりCS進出を逃して涙した本拠地最終戦で、今年は笑った。緒方監督も「本人も節目の10勝ができて、気持ちよくシーズンが終われるだろう。とは言っても、次に向けての戦いはすでに始まっている。これでほっとしないように」と「次回登板」へ期待を寄せた。【前原淳】