広島が4日、マツダスタジアムで3日ぶりに全体練習を再開した。18日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージへ向け、軽めの調整でリスタート。CS突破のキーマン候補は、昨季も大暴れした田中広輔内野手(28)とブラッド・エルドレッド内野手(37)。短期決戦に強い男たちが目をぎらつかせている。

 地に足をつけた再出発だ。2日間の休養を挟み、投手12人、野手18人が、マツダスタジアムに集まった。暖かい日差しの中、フリー打撃やノックなど軽めのメニューで汗を流した。ファイナルステージまではまだ2週間ある。ただ、昨年もレギュラーシーズン終了から10日間のブランクがあった。それでも本拠地を拠点に調整し、DeNAを下して日本シリーズに進んだ。昨年の成功体験が、チームに自信を与えている。

 昨年のCSで打率8割3分3厘(12打数10安打)、1本塁打、4打点の驚異的な成績を残し、MVPを受賞した田中は冷静だ。練習再開初日は、体の反応を確かめるようにバットを振った。「いいイメージはある。もう1回(状態を)一からつくり直す。実戦も少ないですし、振り込みや走り込みでつくっていかないと。昨年の調整がベースになる」と再現を狙う。

 短期決戦に強いエルドレッドも9月21日以来、1軍練習に参加した。昨年の日本シリーズでは初戦から3戦連発で敢闘選手賞を受賞。久しぶりのチームメートとの再会に時折笑みを見せながらリラックスモード。一塁ノックではダイビングキャッチを試みてユニホームを汚した。「チームは1年間通していい雰囲気でやれている。自分は短期決戦の雰囲気でプレーすると、さらに集中力が高まる」。バティスタとメヒアとの外国人枠争いもあるが、日本球界の経験と短期決戦の経験は一日の長がある。ただ、あの舞台に立つ準備に集中する。

 一部選手は、宮崎でのフェニックスリーグ参加も検討されているが、今年も2人のキーマンら主力はマツダスタジアムを拠点に調整を続ける。緒方監督は「しっかりスケジュールに合わせて調整していくだけ」と泰然自若。静かに、そして力強く、33年ぶり日本一への再スタートを切った。【前原淳】