<セ・クライマックスシリーズ・ファイナルステージ:広島2-6DeNA>◇第2戦◇19日◇マツダスタジアム

 打線がつながったDeNAが1勝を挙げたが、ファイナル突破について広島が有利である状況に変わりはないと思う。やはり短期決戦での1勝のアドバンテージは大きいものだし、広島サイドには「やられるかも」というイメージは生まれていないと思う。

 昨年も同じDeNA相手にファイナルで1敗した。それはボクが先発した3戦目だった。連勝して王手をかけた後だったこともあって、その試合後も、いやなムードは特に感じていなかった。今年もそこについては同じだと思う。

 ただ前日、元気がなかったDeNA打線にあってロペス、宮崎といった主軸が働いたことは広島にとってはやっかいかもしれない。だから第3戦以降に投げる投手は「どの打者で打線を切るのか」ということをはっきりさせて投げなくてはいけない。

 先発投手はそういうイメージを持ってマウンドに上がるのが普通だが相手打線をこれ以上乗せないためにも、特にそこは意識していかないといけないと思う。

 この日の先発野村にとって悔やまれるのは5回2死満塁のピンチで代打・乙坂に投げた初球だろう。野村はコントロールがよく、ストライクを取ることにそれほど苦労する投手ではない。代打で出てくる打者は早いカウントから打ちたいと思っているし、そこに対して、初球、甘く入ってしまったのは誤算だった。さらに投手によくある「エアポケット」に陥ったような感じもあった。

 もっとも警戒していたのが4番の筒香だろう。その筒香に対して1回から厳しく内角を攻めた。結果として四球になって歩かせたのだが、これはよかった。最初の対戦では内角への残像を残すことが大事だったからだ。最初にこういう攻めをすると後から効いてくる。

 実際に2打席目、3打席目は1打席目の残像があって筒香が自分の打撃ができなかったように見えた。先発投手はそういうことを考えて打者に挑んでいくことが重要だ。この面では成功していた。

 その筒香を抑えたことでホッとしたわけではないのだろうが5番の宮崎に痛打された。3回に許した先制の2点適時打、さらに傷を広げる5回の二塁打と2本の安打を浴びた。これは結構、起こる。もっとも警戒する打者を抑えた後は、油断ではなく、エアポケットに入った感じで打たれることが多いもの。そこにも注意したい。

(元広島投手)