捕手再挑戦中の阪神原口文仁捕手(25)が、逆襲ののろしを上げた。秋季キャンプ最初の紅白戦で、紅組の5番一塁で出場。4回2死、伊藤和の141キロをフルスイングして、左翼後方にある防護ネットに突き刺した。原口は「追い込まれていたので変化球も頭にあったけど、まっすぐに反応して打ってた」。復活をアピールする完璧な放物線だった。

 最大のアピールポイントはやはり打撃だ。前日4日に行われたシート打撃で与えられた打席は、1度だけだった。金本監督はその理由を「彼らにはケースバッティングは求めないということよ。打ってくれ、ということ。糸井と一緒よ。打ってくれ、ただそれだけ」と説明。求められているのはここ一番で得点を生む勝負強さだ。

 選んだ道は厳しく険しい。秋季キャンプから再び捕手に挑戦することを自ら志願した。この日は5回からマスクをかぶったが、その回に俊介の盗塁を刺そうと二塁送球した際に大きくそれるシーンもあった。金本監督も「まあ、どうやろな」と、まだまだ合格のレベルではない。

 一塁に専念した今季は出場73試合にとどまり、打率2割2分6厘、6本塁打。8月には左脇腹を負傷して離脱した。「ファウルでバットを振っていたので、軌道を修正することができた。1球目からいけるようにしたい」。バットでアピールを続け、捕手としての地位も確立する。【桝井聡】