北海道勢の初優勝ならず。星槎道都大(北海道2連盟)は、0-3で日体大(関東5連盟第1代表)に敗れた。最速148キロの左腕エース福田俊(すぐる、3年=横浜創学館)が5回に先制2ランを献上。今大会3試合で先発した主戦の奮闘も及ばなかった。大会初勝利から北海道勢初の決勝進出の原動力となった左腕は、経験を糧に来季の全国制覇を目指す。

 

 左翼席に飛び込んだ打球を、福田はぼうぜんと見送った。5回1死一塁。日体大の3番船山への136キロ直球を痛打され、決勝2ランを献上した。「あー、いったなーと思った。外角を狙ったが真ん中に入ってしまった。失投です」。4回まで無失点に抑えていた。痛恨の1球に泣き、直後にマウンドから降りた。

 2回戦、準決勝と3日間で209球。志願して3戦連続で先発した。疲労はあった。リーグ戦で未経験の連投。130キロ台後半の直球にバラつきがあった。スライダー、チェンジアップの変化球で打者をかわそうとした。毎回走者を許し「疲れがあったといえばそれまで。まだまだ実力不足です。チームのみんなには申し訳なかった」。最後まで言い訳は一切しなかった。

 6度目の出場で神宮初勝利を挙げ、決勝まで進み、その中心に福田がいた。12日の初戦、創価大戦は4安打11奪三振の完封で全国デビュー。登板3試合で防御率0・98の快投を見せ、注目が集まった。巨人柏田貴史スカウトは初戦後「大きく腕を振れているし、制球も良い。来年が楽しみ」と話した。今春、軸足に痛みがあった。秋も完全な状態ではなかった。来季を万全の状態で迎えるため、12月に左足関節内のクリーニング手術を受けてオフを過ごす。

 優勝まであと1歩届かなかった。悔しさと達成感が交錯した。敗戦にナインは肩を落とした。閉会式後、上半身裸で腕を振る日体大伝統の応援「エッサッサ」を笑顔で見つめた。全日本大学選手権を含め道勢初の決勝進出に「1試合でも多く勝ってやるという気持ちだった。来年また戻ってきたい」と福田。神宮での286球をバネに、次こそ頂点をつかむ。【西塚祐司】