阪神糸井嘉男外野手(36)が故郷で無敵ボディーを作ると誓った。19日、京都・与謝野町の母校橋立中で行われた野球教室に参加。虎移籍1年目の今季は主力としてチームを引っ張ったが、7月に右脇腹痛などで離脱したことを後悔。来季はシーズンを通じて1軍でフル回転することを目標に挙げた。今オフ、超人がさらなる進化を遂げる。

 少年時代の記憶がよみがえった。「懐かしいな~」。子どもたちで埋め尽くされた体育館を見渡した糸井は、うれしそうにつぶやいた。地元のスターを前に目をキラキラさせる野球少年。それと同じぐらい糸井も目を輝かせた。

 糸井 ここで生まれ育ったんで、そういうところで野球教室とか、子供たちに教えられることはあまりない。地元に帰ってきて、こうやって迎え入れてくれる。うれしいですね。

 母校で午後1時から始まった野球教室は時間がたつにつれてヒートアップ。あっという間に予定されていた時間が過ぎた。糸井は地元の宮津市、与謝野町から集まった150人全員のスイングを自らチェックするほどの熱の入れようだ。タテジマに袖を通したことで、さらに増した地元からの注目度。だからこそ、シーズン終了から1カ月近くたった今でも悔しさが消えない。

 糸井 今年は1カ月くらい(出場選手登録の)抹消を経験している。来年は絶対にしたくない。まずはそこ。そこが一番悔しかった。ケガしない体、筋肉…。すべてを目指していきたい。

 オリックスからFA加入した今季は114試合に出場して打率2割9分、17本塁打、62打点、21盗塁を記録し、攻撃の核としてチームを支えた。ただ、交流戦で左太もも裏を負傷。7月には「右脇腹の筋挫傷」で1カ月の長期離脱を強いられた。あの離脱さえなければ…。この世界にタラレバはないが、最終的に10ゲームまで開いた首位広島との差も縮まっていたかもしれない。

 糸井 今年はケガが2、3回あったから、今はそういうケアをしている。それとトレーニングちょっと。技術(練習)は全然やっていない。数字的にも、もちろん納得はしていないですし、阪神に来て一番いい成績(キャリアハイ)を出したい。そう思っている。

 今は2軍施設のある鳴尾浜を中心に、体のメンテナンスとトレーニングを行う毎日だ。「僕もこうやって触れ合えて力もらった。原点というか。そういう気持ちになった」。ふるさとでパワーを得た超人。虎2年目の来季に向けてオフは全力で走り抜くための体を作る。【桝井聡】

<糸井の今季VTR>

 ▼右膝負傷 自主トレで右膝に違和感を覚え、1月下旬に診察を受け「右膝関節炎」と診断された。キャンプは別メニューも順調に回復し3月15日のオープン戦(対オリックス)で移籍後初出場。初打席で初安打を放った。

 ▼猛打賞デビュー 3月31日の開幕戦(対広島)で「3番中堅」で猛虎デビュー。適時打2本を含む3安打3打点と大暴れした。勢いのまま開幕から6試合連続打点をマークした。

 ▼大不振 5月半ばから、自己ワーストの7試合、28打席連続ノーヒット。同25日の巨人戦の第1打席でようやくトンネルを脱出。

 ▼右脇腹痛 7月17日の広島戦で、打席で空振りした際に故障し交代。18日に「右脇腹の筋挫傷」のため出場選手登録を抹消された。2軍での調整を経て8月17日に再登録。同18日の中日戦で先発に復帰し、ソロ本塁打を含む3安打で自ら快気祝い。

 ▼初のサヨナラ弾 8月30日のヤクルト戦の延長10回、近藤からプロ14年目で初めてのサヨナラ本塁打。お立ち台で「やりましたー!」と絶叫。