苦労が報われた。阪神桑原謙太朗投手(32)が20日、東京都内で行われた「NPB AWARDS 2017 supported by リポビタンD」で、10年目で初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手(43ホールドポイント)を同僚マテオと同時受賞した。

 2度のトレードを経験し、DeNA、オリックスと3球団を渡り歩いた苦労人は、初めて上がる晴れのひな壇にド緊張。「すごく光栄に思っています。中継ぎの方が全員調子が良く、それに引っ張られた。今年の数字を続けられるように頑張ります」と声を震わせた。

 金本阪神の2位躍進に欠かせない存在だった。セットアッパーとしてチーム最多の67試合に登板。4勝2敗39ホールド、防御率1・51と圧倒的な成績を残した。だが、現状に満足はしていなかった。

 桑原といえば、鋭く曲がる魔球「真っスラ」が代名詞。金本監督も160キロのカットボールを投げた元ヤンキースの守護神「マリアノ・リベラのよう」と評したほど。その切れ味は抜群だ。来季も150キロ超の直球と「真っスラ」で打者をキリキリ舞いさせたい。だが、桑原が口にしたのはプラスアルファの進化だ。

 「次の(春季)キャンプまでに取り組んで使えるくらいに持っていきたい。何か1つ使えるボールを探していきたい」。詳しくは明かさなかったが、フォークやチェンジアップなど縦に変化する球種とみられる。「今年1年、こんなことになると思わなかった」と笑った遅咲き右腕。新魔球を習得し、来季もフル回転する覚悟だ。【桝井聡】