必殺仕事人になって優勝に導く。阪神鳥谷敬内野手(36)が5日、神戸市内の神戸文化ホールで開催された「~クリスマス特別企画~鳥谷敬選手・祝2000安打プレミアムトークショー」(日刊スポーツ主催)に参加した。7回目となる恒例イベントで、過去最多2000人のファンの前で来季への意気込みを語った。目指すのは05年今岡のような勝負強い仕事。来季13年ぶりのリーグ制覇へチームを引っ張る。

 壇上から会場を見渡せば、約2000人の観衆から割れんばかりの大歓声をもらった。鳥谷はトークショーでV奪回を渇望する虎党の期待を全身で感じ取り、柔らかな表情のまま気持ちを新たにした。

 「打順にこだわりはないけど、6番あたりに入ることが多ければ、打点が多いに越したことはない。自分はホームラン打者じゃないから、1人でどうにかできないけど…。自分が打点を多く稼げているとすれば、それはチームが機能しているということだから」

 復活を遂げた今季は全143試合に出場し、打率2割9分3厘を記録した。個人成績の自己採点は「70点ぐらいかな」だという。「1年間出られたことで50点。2000安打を打てたところでプラス20点ぐらい。ただ、そんなに人に自慢できる成績ではないかな…」。打順6番を主戦場とする中で打点は41。得点圏打率2割5分6厘では納得できるわけがない。来季は打点増が目標の1つになる。

 理想像は今岡ロッテ2軍監督の現役時代。勝負強さにたけたクラッチヒッターを問われれば、真っ先に脳裏に浮かぶ名前だという。

 「そりゃあ、05年の今岡さんでしょう。打率2割7分台で150近い打点をあげるなんて、見たことも聞いたこともない。あの時は走者がいたら必ず打つ、というイメージだった」

 大先輩は阪神で5番を任された05年、打率2割7分9厘でプロ野球歴代3位の147打点をマークした。得点圏打率は脅威の3割7分1厘を誇り、満塁場面での打率は6割、満塁本塁打4本はシーズン歴代2位タイの数字。打点王に輝き、チームをリーグ優勝に導いた。あの恐るべき勝負強さを引き継ぐことができれば、虎の打力が大幅にアップすることは間違いない。

 来季は37歳シーズンになる。「日本一を目指してやっていきたい」。美酒に懸ける思いは強まるばかりだ。トークショーの直前、契約更改の会見では並々ならぬ覚悟を言葉に変えた。

 「何歳までもできるわけじゃない。(現役生活の)終わりが近づいてきているのは自分でも分かっている。自分がグラウンドに立っている状態で優勝したい、という気持ちはあります」

 悲願成就へ、希代の勝負師と化す。【佐井陽介】