巨人は5~6月に球団ワーストの13連敗を喫した。06年以来のBクラスとなり、CS出場を逃した。菅野は17勝、防御率1・59、勝率7割7分3厘とすべて自己最高の数字で、最多勝と防御率の2冠を獲得。阿部は8月13日に通算2000安打を達成した。担当記者の印象に残った言葉は…。

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▽長嶋茂雄終身名誉監督「勝つ、勝つ、勝つ、勝つ!」(2月11日、ミスターがキャンプ視察に訪れ、円陣でナインに唱和を求めて叫んだ。巨人担当の後輩も感化され、その夜の居酒屋で先輩に「ご唱和を」と求めた=広重竜太郎)

 

▽菅野「分業制などで、今と昔は違うと言われる。でも、最後まで投げ切る、マウンドを守るということは、今も昔も何も変わりませんよね」(5月9日、52年ぶりの4連続完封に向けて。エースの信念がにじみ出た=松本岳志)

 

▽阿部「今すぐに使おうとは思ってないよ。いつになるか分からないけど引退試合かな」(5月中旬に今季のキャッチャーミットが届いた。“永遠の恋人=捕手”は心の奥にしまってある=為田聡史)

 

▽坂本勇「1つ勝つのがこんなに難しいんだなと、ジャイアンツに入って初めて感じています」(6月7日西武戦で12連敗を喫し、75年の11連敗を更新する球団ワースト記録。ストレートな言葉に、名門の主将としての責任と苦悩がこもっていた=浜本卓也)

 

▽井端内野守備走塁コーチ「あれだけ野球のことが書いてあるのに、連敗脱出の方法が書いてない」(6月9日、歴史的連敗を14でストップ。愛読する野村克也氏の本を内容を隅から隅まで頭で巡らせた。連敗脱出へすがるような思いだった=為田聡史)

 

▽亀井「最後打てなかったら命を取られると思って…それぐらいの気持ちで行きました。奇跡としか言いようがないです」(6月18日ロッテ戦。前打者のマギーが3打席連続で敬遠された。2打席凡退後の延長12回にサヨナラ3ランを放って号泣する姿に、ベテランの意地を見た=浜本卓也)

 

▽斎藤投手コーチ「まだ少ない。21年間、巨人の投手は何をやっていたの?」(9月20日、阪神戦で菅野が斎藤コーチの現役時のシーズン4完封に並ぶも、ジョーク交じりに喝。平成の大投手にしか言えないコメントだった=広重竜太郎)

 

▽OB城之内邦雄氏「俺の4連続完封、すごい記録だったんだね。菅野の3連続で新聞を見た時に俺の名前があって、初めて知ったんだ。菅野のおかげだ」(エースのジョーと呼ばれた大投手の50年以上も前の記録が、菅野の快投によって照らされたことを実感した=広重竜太郎)

 

▽高橋監督「紙面上、もう少し名前のある人が良かったんじゃない?」(9月26日、ヤクルト戦で球団通算1万号を放った中井への祝福? の一言。中井自身も『僕で良かったのかな?』と苦笑いしたように、指揮官のコメントは絶妙だった=広重竜太郎)

 

▽高橋監督「現実を受け止めないと」(10月1日、阪神戦でCS進出を初めて逃す現実に直面した。今季は球団ワーストの13連敗など厳しい現実を何度も突きつけられた=広重竜太郎)

 

▽村田「野球がしたい、ただそれだけです」(11月24日、熱海市内ホテル。巨人を自由契約となった後、あいさつのために球団納会に参加。所属先が決まらない不安の中、口を突いて出たのは野球への純な思いだった=浜本卓也)