阪神金本知憲監督(49)が6日、楽天の星野仙一球団副会長の死を悼んだ。兵庫・西宮市内の球団事務所で取材に対応した。一問一答は以下の通り。

 -訃報はビックリした

 金本監督 私も昨日の夜遅くにうわさを聞きまして朝、正式に聞くまでは、ウソであってほしいなと思いながら、夜中、何回も目が覚めた。いまだに受け入れられないというかね…。

 -最後に話したのは

 金本監督 (12月の)殿堂入りパーティーの時に控室で少し話をさせていただきまして。

 -2人で話もしたか

 金本監督 わずかな時間ですけど「しっかりブレずに自分の思うように頑張って、絶対、阪神強くなるから辛抱してやれよ」と言ってもらいました。

 -楽天移籍後もタイガースを気にかけた

 金本監督 チームのことに限らず、僕、個人的には本当に、星野さんが辞められたあとも、僕が引退するときも、監督に就任するときも、ずっと、何か一声かけてくれたり、背中を押してくれたり、本当にマメにしてくれていました。

 -訃報を聞いて、2003年のV戦士と連絡は

 金本監督 いえ、時間的に深夜だったので、できなかった。今日、朝から所用があって、なかなかできていない。自分のなかで、まだ、正直、あまり受け入れられていないというか…。いまだに信じられない。

 -FAで阪神に加入。縁浅からぬものがある

 金本監督 2002年のオフ、僕がフリーエージェントの権利を取って星野さんが監督じゃなかったら、間違いなくタイガースには僕は来ていないと思いますし、星野さんが監督をやっていなかったら、2003年も2005年も、まず優勝はなかったと思います。そういう意味で、本当に僕も2回、優勝させてもらって本当にいい思いをさせてもらって、星野さんのおかげだと思っています。僕のなかで、関西の父親代わりみたいな方でしたね。

 -選手として星野監督の胸に飛び込み、格別か

 金本監督 よく言われているように(広島からFA宣言時に)根気よく、執念を持って、僕のことを説得して、本当に嫌がる自分を強引にというほうが近いんですけど、本当に、そのおかげで2回、優勝させてもらって、チームとしても球団としても、星野さんが来られてから、強いタイガースができあがって、毎年、300万人入るチームになって、本当にタイガースの一番いい時代を作るキッカケとなった方なのでね。そのなかで、自分も半分、現役でやらせてもらったり、いま、監督をやらせてもらって、本当に感謝の気持ちといいますか、球団も持っていると思いますし、僕個人も感謝という言葉しかないですね。

 -監督として采配を振るなかで星野さんを思い起こすことは。怒ったり、グッとこらえたり、相通じる部分はあるのか

 金本監督 やはり、あります。やっぱり、言うべきことは言わないといけないとかね。逆に、しっかり我慢するところは我慢しながら、少々時間がかかってでも、自分のイズムを浸透させていくという信念を持たないといけないというのは、やはり星野さんの影響はものすごく大きいです。

 -野球人・星野仙一は。殿堂入りパーティーでも「野球と恋をした」と話していた。どう受け止めるか

 金本監督 力以上のモノを出すには気持ちしかないというか、戦う気持ちだとか、なにくそという気持ち、これを持っている選手は持っているもの以上の力を出すことができるんだと。僕もそういう選手だと思いますし、あらためて、選手に、そういう気持ちを持ってほしい。そういう気持ちを持って戦ってほしいというのは、あります。

 -男・星野仙一を強く感じたときもあるのか

 金本監督 そうですね。見ての通り、怖さと愛情、優しさが両極端に大きい方だったので、その男の部分と、いい兄貴分だったり、すごくいい相談相手だったり、いろんな面で、男らしさを感じていました。

 -阪神ファン、星野ファンも受け入れられない。別れの言葉を選ぶなら

 金本監督 そうですね。別れといいますか、感謝ですよね。これから見守っていてほしいなと思います。

 -金本監督のなかにも「星野監督」は生きている

 金本監督 もちろん、星野監督の姿、全部が全部ではないですけど、本当にいいとこ取りと言うか、忘れないように、2003年、星野さんの野球で勝ったわけですから、少しでもいいところは生かして、常に胸の中に思いながら、戦っていきたいと思います。

 -殿堂入りパーティーで星野さんから「あと2年で優勝」と言われた。今年は特別なシーズンになる

 金本監督 そうですね。「今年、今年やぞ」ということじゃなしに、現実を見る目というか、それを指摘できる眼力というところもありますし、おおらかなところもありますし、周りのファンに、僕のために「そんな急がせるな」というね、もっともっと急がせて焦らせるよりは「あと2年」という期間を言ってくれて、ドッシリやれよというメッセージだと僕は思っています。現場は1年1年、戦いの勝負ですが、そこを大きな心で、僕をかばうつもりで「2年」という言葉を出してくれたんじゃないかと思います。

 -星野監督から言われた言葉で印象的な言葉は

 金本監督 一番は、広島時代ですね。達川監督でしたか。試合前の練習か何かで、星野さんが達川さんに向かって「タツ、なんだかんだ言うて、休まん選手が一番、監督はありがたいよな」という言葉を言われていて、ああ、監督というのは、そうなんだと分かってきて「だったら、休まないよ」と。ある意味、僕のフルイニングの記録というのは、そういう星野さんが達川さんに言った言葉もすごく大きかったと思います。