あるぞ、初の本気侍経由で初の開幕投手! DeNA今永昇太投手(24)が沖縄・宜野湾キャンプ第2クール初日の6日、打撃投手を務めて完璧に近い投球を披露した。視察した侍ジャパン稲葉監督の前で打者2人に36球投げ、安打性の当たり2本に抑えた。日本代表がベストメンバーで臨む3月3、4日のオーストラリアとの強化試合の代表選出に大きく前進。3月30日のヤクルト戦で、初の開幕投手を務める可能性が高まった。

 確かな手応えをつかむには、十分な36球だった。今永が今キャンプで初めて打撃投手を務めた。大学日本代表の4番だったドラフト8位の楠本泰史(22=東北福祉大)を安打性2本に抑えると、続く同7位の宮本秀明(21=パナソニック)からは3つの空振りを奪うなど“無安打”投球。新人2人を圧倒し「すごくよかった。やりたいと思っていたことがすべてできた」と言うほど、ボールのキレや精度は充実していた。

 昨年11月に初選出された侍ジャパンの稲葉監督が視察していた。打撃投手とはいえ、スイッチが入る。「ネットの後ろから見ていて、すごく緊張したし、自然と力が入った」。このオフから取り組んでいるパワーカーブも投げて空振りを誘い「まだスピードが遅い。高めで振らせるようにできれば」と、完全に習得して投球の幅をさらに広げようとしている。

 筆頭候補だった開幕投手が、一気に現実味を帯びてきた。候補の石田、浜口と比べても抜きんでた仕上がり。3月の強化試合で日本代表に選出された際、DeNAは全面的にバックアップする意向だ。球団幹部は「代表は光栄なことだし、選ばれた選手は派遣する。使用する球にも(開幕前に)十分適用できると思うし、開幕投手だとしても特に問題はない」と言う。強化試合とリーグ戦の使用球はほぼ同じ。強化試合で登板しても、ヤクルトとの開幕戦まで時間は十分。支障はない。

 今永も「僕は2月1日の時点で打撃投手ができる状態にしていた。いつ投げろと言われても投げられる準備はできている」。3年目のエース候補が、侍経由で初の開幕投手をたぐり寄せにいく。【栗田成芳】