ソフトバンク東浜巨投手(27)がシート打撃で新兵器を披露した。6人目、左打者の上林が打席に立つのを待っていた。「バヤシには変化球ばかりで悪いと思ったけど、最初の明石さんが初球打ちだったんで」。4球中3球、外角ボールゾーンからストライクに食い込むスライダーを投げた。メジャーで言う「バックドア」。追い込まれた上林は、ググッと外から曲がってきた球をカットできず力ない三邪飛に。これこそが18年型の新東浜だった。

 昨季は16勝で最多勝に輝いた。今季は当然、相手のマークも厳しくなる。甲斐とも相談し、昨秋から今季に向けて用意していたのが、高度な技術を要するスライダーだった。「右にも投げたいが、まだ抜けるから」と、ひとまず左専用。だが、精度が上がれば、右打者の懐をえぐりながらスライドさせてストライクゾーンに食い込ませる。昨季まで右打者には、外角のスライダーと内角へのシンカーの組み立てだが、新しい「ナオ・スライダー」が使えれば投球の幅は大きく広がる。

 この日、内川には外へ投げるはずのスライダーが抜けて内側へ。中飛に打ち取った。受けた捕手栗原も「あれは結果的にそうなっただけだが、意図して投げられるようになれば大きい」と話す。この日もシート打撃後にブルペンで32球投球。スライダーも2球試した。投球術も進化し、開幕から1年間、きっちりローテーションを守り抜く。【石橋隆雄】