日本野球機構(NPB)がプロ野球を対象とした野球くじについて、5日の理事会で検討を開始することが1日、分かった。理事会の議題に2月21日に那覇市で開かれた中期経営計画小委員会からの報告が盛り込まれた。同委員会は野球の普及や振興の財源について、くじなどの選択肢を報告する見込みだ。

 これまで振興の財源は、NPBが新規参入球団から得た特別会計で年間約1億円を充ててきたが、今後2年で底をつく見通し。そのため、NPBの子会社NPBエンタープライズが管理する侍ジャパンの収益などとともに、スポーツ振興センターのくじがプロ野球を対象とすることで発生する助成金も、財源に充てるかどうか検討される。

 NPBの井原敦事務局長は「中経(中期経営計画小委員会)は根本として野球の普及、振興について話す。エンタープライズの剰余金などもあるし、何が(振興に)必要かを検討する。くじの助成金も財源の1つとしては考えられる。細かい点まで話す時間はないだろう」と話した。

 野球くじの開始については、超党派の国会議員でつくるスポーツ議員連盟が、早くても20年春を想定していることも判明した。昨年5月、議連メンバーの遠藤利明元五輪相がNPBに野球くじの再検討を要請。水面下で対応していたNPBは、先月、12球団の代表に対して想定されているくじの方式などを説明し、八百長を避けるべく、サッカーの「BIG」のような、コンピューターが無作為に勝敗を選ぶ非予想型が挙げられた。対象試合数や雨天中止時の対応など、慎重な議論が求められる。

 プロ野球界は過去に黒い霧事件、最近でも巨人選手の野球賭博関与があった。同じく要請があった15年にはオーナー会議でくじ導入が否決されている。今回もオーナー会議での賛成に加え、選手会や審判からも同意を得る必要がある。