16年ドラフト1位のヤクルト寺島が、5者連続奪三振で開幕ローテーション入りにアピールした。4回から2番手で登板。1死後、前打席で特大弾を放った阿部にも臆せず、4球直球を続けた後の外角スライダーで空振り三振を奪った。その後も直球主体に球を低めに集め、5連続空振り三振の快投。3回を1安打無失点に抑え「必死で投げてついてきた結果なので良かった」と胸をなで下ろした。

 どん底からはい上がってきた。2月9日の紅白戦初戦で先発も制球が定まらず、2回5安打6失点と炎上。2年前の甲子園を沸かせた堂々とした姿は影を潜め、結果欲しさに腕が縮こまっていた。田畑、石井弘の両投手コーチから「このままじゃ通用しない。腕をしっかり振れ」と言われ「ストライクゾーンに真っすぐを全力で投げて打たれたら仕方ない」と腹をくくった。この日の5奪三振中、4つが初球ストライクと攻めの姿勢を貫いた。小川監督からは「ボールもマウンドの雰囲気も変わった。彼の中に変化があったと思う。楽しみが出てきた」と高評価を得た。開幕ローテ争いに生き残った寺島は「必死に目指してやるだけ」と、満足せずに思い切り腕を振ると誓った。【浜本卓也】