3度目のトリプルスリー達成へ、はっきり視界が開けた。ヤクルト山田哲人内野手(25)が3回、日本ハムのマルティネスの直球を射抜いた。打球は低弾道で中堅左のスタンド最前列へ。開幕6日前に4号ソロを決めたものの、オープン戦打率は2割2分9厘と高くない。それでも「想像通り。想像していたようになっている」と、うなずいた。

 2度のトリプルスリー達成から導き出した「山田哲流調整法」がある。このオフに昨季の不振の原因を探り、「ピーキング」に1つの答えを見いだした。鍛錬でなく調整を最優先にして3月のWBCにピークをもっていった結果、昨年4月は打率1割7分9厘と極度の不振に陥った。

 今季はレベルアップを図りつつ、ピークを開幕に持っていくため、3月は“底”に落ちた。「1年に1回は(調子の)底が来る。それを開幕前に作って開幕から上がっていく感じにしたい。開幕からチームを勢いに乗せないといけないので」。筋トレと春季キャンプの猛練習で肉体を極限まで追い込み、その影響で3月は不振に陥っても信念を貫く覚悟を決めた。

 10日時点で打率は5分9厘と低迷。周囲の不安の声も耳に入ったが、意に介さなかった。トリプルスリーを決めた15、16年のオープン戦も、開幕前に“底”に陥っていた。だからこそ「計算通りに来てますね」と、ぶれなかった。映像を確認するたびに「スイングも感覚もいい」と手応えを深めていった。

 そしてオープン戦残り2試合となったこの日、理想通りの弾道を放った。「2年前と同じような感覚。けっこういい形になってます」と、4月は打率3割2分9厘、7本塁打だった16年の感触と重ねた。「明日開幕してって感じです」。狙い通りに開幕前に“底”から浮上し、昨季96敗からの逆襲をトップバッターとして引っ張る準備を整えてきた。【浜本卓也】