この男に3度目はなかった。5回1死二、三塁。西武秋山が均衡を破る犠飛を放った。それまで日本ハム・マルティネスに2三振で「ひどすぎた」。好機で汚名返上したが「前に飛ばすだけで良かった。出塁してバントしてくれた人たちのおかげ」と自分の手柄よりも、周りに感謝した。

 2試合続けて相手先発は新顔。実地のデータがない中、1番打者として後続のためにストライクを見送る役割も担った。7回先頭では二塁打で追加点につなげ、9回1死一塁では2点差に広げる適時二塁打。「金子が一塁でプレッシャーをかけてくれたから直球が来た。良い仕事をしてくれた」と再び人を立てた。もっとも辻監督は「秋山のタイムリーが大きかった」。連日2ケタ安打で2連勝。打線好調で早くも単独首位だ。そこにはド派手な1発とは違う仕事人の働きがあった。