好調虎打線の中で、巨人田口に先制パンチを見舞ったのは糸井だった。1回表。一塁走者の上本がけん制死となり、チャンスがついえたかに思われた直後。2死走者なしから、田口が投じた高めチェンジアップに対応。最後は右手1本でバットコントロールした一振りで先制1号ソロを右翼席へ。打球の行方を見届けた糸井自身が驚いた表情を見せる1発だった。

 試合後、糸井は先制弾について「負けたから意味ないです」と敗戦を悔やんだ。短い言葉に悔しい思いがにじむ。第2打席は四球でチャンスをつないだが、第3打席で併殺打に倒れると、第4、第5打席では2打席連続の空振り三振に終わった。

 開幕戦から2試合で9打数2安打。開幕前に抱えていた不安も問題はなさそうだ。3月24日のオリックスとのオープン戦を臀部(でんぶ)の張りで欠場していたが、3回1死一、二塁で、二塁走者として5番福留の右前打で生還。不安を一掃する走りだった。

 「明日は絶対勝ちたい」。勝利への「執念」を言葉にして球場を離れた。【古財稜明】