メジャー通算17勝右腕、日本ハムの新外国人ニック・マルティネス投手(27)が、来日初白星を完投で飾った。6日のロッテ1回戦(東京ドーム)に先発し、9回4安打2失点(自責0)の好投を見せた。新外国人投手が来日初勝利を完投で挙げたのは、球団では99年ウィッテム以来19年ぶり。

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 マルティネスには5月上旬、初めてのベビーが誕生する。名前はヴェラちゃん。女の子で、妻キンバリーさん(26)の祖母の名前を継いでいる。米国国籍のマルティネスだが、両親はキューバ生まれのキューバ人。キンバリー夫人も同じでわが子に祖母の名前を付けることはキューバの伝統の1つになっているという。

 出産場所は米国でも、キューバでもなく、日本に決めた。通訳ら球団スタッフに協力してもらい、札幌市内で外国人でも安心して子供が産める病院を探した。近年、母国で出産する妻に立ち会うためシーズン途中に帰国する外国人選手も多いが、マルティネスに迷いはなかった。自らの生い立ちが、そう決断させた。

 「ボクにはキューバの血が流れているけど国籍は米国。だったら子供には生まれた場所の国籍を取得させるのが一番良いと思うんだ」。夫人と話し合い、パスポートの変更手続きなどに取りかかろうともしたが、日本の法律など壁は高く断念した。日本への敬意。国籍も超越した愛情の深さを、きっとヴェラちゃんに注いでいくはずだ。【日本ハム担当=田中彩友美】