阪神新外国人のウィリン・ロサリオ内野手(29=韓国・ハンファ)が甲子園で弾丸安打デビューした。5回の第3打席で、広島先発薮田の145キロ真っすぐをはじき返して右中間を真っ二つ。一塁走者糸井の本塁憤死で本拠地初タイムリーはならなかったが、超満員の甲子園で名刺代わりのパワーを見せつけた。打率2割2分2厘と低空飛行が続くが、この日の快音をきっかけに本領発揮を期待だ。

 虎党が乱舞する右中間スタンドに向かって、打球はまっすぐに伸びた。1-3と再び2点差を追う展開になった直後の5回2死一塁。甲子園1号かと思わせる弾丸ライナーを、4番ロサリオが放った。

 一塁から糸井がホームを狙うも、右翼手の送球を中継した二塁・菊池の絶妙なホーム返球でタッチアウト。適時打にはならなかったが、甲子園を埋めたファンに存在感を見せつけた。

 「タイミングをしっかり取る練習をやってきたんで、感じは悪くなかった」。手応えそのものには、ロサリオもうなずいた。

 試合前。早出組以外の若手選手が出てくる午後2時10分に、ロサリオもロッカー室から現れた。普段は室内で打ち込み、グラウンドに姿を見せるのは他の野手より遅い時刻。この日はより早くから室内で打ち、準備の時間を長く取った。フリー打撃の順番を待つ間、ロングティーに取り組んだ。

 左足だけを使って打ったり、その逆を試みたり。試行錯誤の練習を見守りながら、平野打撃コーチは「糸井がやっているのを見て、自分もと思ったみたい。とにかくまじめ。まじめすぎるくらいまじめですよ」と目を見張る。

 対戦相手を一撃で仕留めた2月の沖縄・宜野座キャンプは、鮮烈だった。周囲の期待は大きい。本人は、全打席好結果で応えようと懸命だ。5回の守りでは、ボールが先行した小野に駆け寄り、励ました。「ムードメーカーなんですよ。声を出し、盛り上げてくれる」と平野コーチ。攻守以外でも、ロサリオは大事な役割を果たしている。

 初回1死一、二塁は、中堅フェンスぎりぎりの大飛球。5回も反撃に十分な当たりだった。結果は4打数で単打1本。それでも存在感を示し、初めて味わう甲子園のナイターを「素晴らしい雰囲気だった」とロサリオは振り返った。打率は依然2割2分2厘と低調だが、この日の弾丸ヒットをきっかけに、豪打爆発といきたい。【堀まどか】

 ◆阪神主な新外国人野手の甲子園初戦 史上最強の助っ人バースは、83年4月16日巨人戦に、一塁守備からの途中出場。9回にまわってきた唯一の打席で槙原から見逃し三振と、なんとも寂しいデビューとなった。89年フィルダーは2安打と好発進し、シーズンでも38本塁打の大活躍。14年ゴメスも2安打2打点。シーズン109打点でのタイトル獲得につなげた。