楽天の19歳、藤平尚真投手が今季初勝利を挙げた。最速150キロの直球と多彩な変化球を武器に、強打のソフトバンク打線を7回2安打無失点。同じ横浜高出身の大先輩、中日松坂より一足お先の1勝を挙げた。新人だった昨年は8月のプロ初勝利でチームの連敗を6で止め、9月には10連敗をストップ。楽天が誇る“連敗ストッパー”が、ソフトバンク相手の3連敗を阻止した。

 藤平は7回103球を投げ、2安打しか許さず8三振を奪った。力は有り余っており、続投する気満々。ベンチに戻ると佐藤投手コーチに「まだまだ全然行けますよ」と直訴したが、「お前の『行ける』は信用ならねぇ。信用するとすぐ四球を出すからな」とニヤリと笑って却下された。ハーマン、松井とつないでチームは連敗を2で止めた。

 とはいえ、ヒーローはなんといっても藤平だ。勝敗のつかなかった前回12日のオリックス戦以降、4度もブルペン入り。前回登板で「12、13球投げて1球もストライクをとれなかった」というカーブと、これまであまり投げてこなかったフォークを磨いた。

 カーブは8球中5球がストライク。2回には相手6番明石をカーブ2球で追い込み、フォークで空振りの3球三振に仕留めた。初回の柳田の見逃し三振もフォーク。佐藤投手コーチも「練習でやってきた成果が出たな」と、日々成長する19歳に目を細めた。

 くしくも横浜高の先輩、中日松坂、ロッテ涌井と登板日が重なった。好投しながら黒星のついた2人を尻目に、強力打線を相手に今季初勝利。試合後は「横浜高校出身の人間にとって松坂さん、涌井さんは特別な存在。投げ合える日を楽しみにしてますし、負けないようにしっかり勝ちを積み重ねていきたい」と“挑戦状”とも取れる言葉を、力強く言い切った。

 試合後、守護神松井からウイニングボールを受け取り「松井さんにボールをもらえてうれしかった」と表情を崩した。次回登板へ向け「(続投を)信頼されるようにこういう勝ちを積み重ねていきたい」。今度は完投で、自らウイニングボールを手にするつもりだ。【千葉修宏】