今季のプロ野球は、監督がリプレー検証を要求できる「リクエスト」や投球しなくても敬遠できる「申告敬遠」が始まった。日刊スポーツ調べでは7日現在、リクエストの総数が80回で判定変更が29回の36%。申告敬遠は54回あった。開幕から約1カ月が経過し、試合に与える影響などを検証した。

 今季の敬遠(55個)で申告制を使用しなかったのは、4月5日オリックス戦のロッテ涌井の1例だけだ。前日に二木が申告敬遠し、救援の南を送った際にタイミングがずれたため。清水コーチは「4球投げた方が次の投手が行きやすいということで試した。(交代でなく)普通の場面では申告でいいと思います」。ロッテも、交代のタイミングがないこともあり、以後は申告制を利用している。

 投手によって使い分けるのはヤクルト小川監督だ。制球のいいブキャナンが4月28日巨人戦で坂本勇を申告敬遠後、吉川尚に4球で四球を与えた。「明らかに闘争心がうせた感じに見えた。1つもストライクが入らなかったからね。逆に意識過剰になってそう見える気もするし、どう影響するのか分からない」。翌日のカラシティーは、敬遠気味の四球で歩かせた。「横で外すのは問題ないと言うから。事前に申告した方がいいかは、投手と話をしてやっている。暴投になっては意味がないから」と話す。中日森監督も「投げたいやつもいる」と同じ意見だ。

 投球数は減らすことができる。大リーグ経験のある日本ハム吉井コーチは「無駄な球は投げなくていい」と2ボールからでも使う。1試合15球以内を目指す阪神石崎は「4球でも少ない方がいい。次の日に疲れが残ることもある」。1年間では大きな差となり故障予防の効果も見込めそうだ。

 ◆申告敬遠 4球投げなくても、監督が審判に申告すれば故意四球にできる制度。監督が本塁から一塁を指さすジェスチャーを行う。カウント途中からでも可能。2ストライクからの利用は楽天釜田の1例だけ。記録上の投球数は実際の投球数。高校野球では採用していない。