エースが粘りの投球で、チームを3位に押し上げた。巨人菅野智之投手(28)が、オリックス打線との我慢比べに勝った。同点に追いついた直後の4回1死、自らがセーフティーバントの処理を悪送球した。その後の中前打で一、三塁のピンチを招いたが、序盤から重用したフォークを決め球に、最高の結果となる遊ゴロ併殺打で切り抜けた。

 初回、自身として7戦ぶりに先取点を与えた。「序盤は直球系の球を打たれたので、いろいろなボールを使った」。相手打線の狙いを察知し、2回は29球中22球、3回は13球中9球で変化球を投げた。軸となった球はフォークだった。「誠司(小林)がいいところを引き出してくれたので、自分の投球ができた」。コンディション不良から5戦ぶりに復帰した小林への信頼を口にした。

 中盤からは直球の割合も増やしながら、7回まで7安打1失点。防御率も1・99と再び2点台を切った。昨季から全試合バッテリーを組む小林も「智之(菅野)がいい投球をしてくれた。1つの型にとらわれず、いろいろな形を出せた」と納得顔で振り返った。

 前回登板の5月25日阪神戦は援護なく0-1で敗れたが、エースの粘りにこの日は打線も応えた。逆転勝ちで3位浮上。「チーム全員で勝った1勝だと思う。目指すところは3位ではないので、優勝できるよう頑張ります」。菅野自身も交流戦通算成績を19戦7勝7敗と五分に戻した。【桑原幹久】