豪快にひっくり返した。「日本生命セ・パ交流戦」は6試合が行われ、巨人はパ・リーグ首位の西武と対戦。1点を追う7回2死一、二塁で、坂本勇人内野手(29)が左中間席へ逆転の7号3ランを放った。前日の試合をエース菅野で落とし最下位に転落。いやな流れを主将が振り払った。4年ぶりにセ・リーグ6球団が交流戦で全勝した。

 打球がスタンドで跳ねる前に坂本勇が跳ねた。1点を追う7回2死一、二塁。パ・リーグ最多勝タイ、西武多和田の内角直球を一振りで仕留めた。放物線が左中間席へ届く前にスキップするように一塁へと駆けだした。逆転の7号3ランに、長嶋茂雄終身名誉監督の現役時代を連想させる喜びのアクション。「打った瞬間ホームランだと思い、そういう表現になりました」と笑顔で説明した。

 交流戦は初対戦の投手が増える。だが動じない。「12年もやっているから大丈夫」。年に1度しか対戦しない相手でも、普段と同じく映像での確認にとどめる。「後は打席に立った時にどう感じるか」と打席ごとに感覚を追加。1発直前の第3打席では143キロ直球を打ち損じて二ゴロ。「前の打席で直球を捉え切れていなかったので」と適応した。交流戦での通算本塁打率(1本塁打に要する打席数)は29・5。セ・リーグ公式戦の33・7を上回る。

 チームの苦境にも周囲に寄り添う。5日、二遊間でコンビを組む吉川尚が今季初の先発落ち。「先発で出なくても、試合に入って見て勉強しろよ」と声をかけた。自らもすんなりと定位置をつかめたわけではない。すべての状況を糧とさせるため、心を砕く。逆転弾も「(田中)俊太がつないで、何とかかえしたい気持ちだった」と直前に代打で四球を選んだルーキーの粘りに応えたい一心だった。

 泥沼にはまるのを防いだ。デーゲームでセ・リーグの5球団が全勝。ナイターの西武戦で敗れれば唯一の黒星で12年ぶりの8カード連続勝ち越しなしに陥っていた。「こういう試合が増えれば流れもチーム状態も良くなる。全員が意識すれば上がっていく」と経験が上昇気配だとささやく。2位阪神とは1・5ゲーム差のまま。底辺から抜け出すため、カード勝ち越しに挑む。【島根純】