ロッテ石川は顔をゆがめてゆっくりベンチに下がった。9回1死。16年9月15日以来の完封まで2アウトのところから3連打を浴びた。ゼロ行進のスコアボードに「1」が刻まれた。

 8回1/3を1失点。だがナイスピッチとの声に「自分はそうは思いません」と答えた。リーグ戦再開後の初登板。中盤は風速12メートルを超える浜風をうまく操った。直球が伸び、カーブは大きく落ちた。8回まで散発5安打無失点。「9回も普通にいけるかなと思ったんですけど」。完封というより、完投できなかったことが悔しかった。

 それでも6月4戦全勝を含む自身6連勝。ボルシンガーに並ぶハーラートップタイの9勝目を挙げた。3勝に終わった昨季から一転、シーズン前半戦での2ケタ勝利に王手をかけた。「そりゃあ、勝てるなら勝ちたい。でも(連勝は)別にどうでもいい。いいピッチング、いいボールを投げたいというだけ。それを継続していきたい」。徹底した意識が安定した防御率に反映されている。決して調子の良くなかった前週の阪神戦から、きっちり1週間で持ち直した。黒星は石川の前で止まる。そんな安心感がある。【鎌田良美】