広島丸佳浩外野手(29)がDeNA9回戦の3回に左中間へ安打を放ち、史上293人目、球団24人目の通算1000安打を達成した。プロ初安打を記録した10年9月21日ヤクルト戦(マツダスタジアム)から1017試合目での大台到達となった。しかしチームが逆転負けで連敗を喫したため、試合後は笑顔なし。早くも次の1本への戦いに目を向けた。

 外角への真っすぐに逆らわずバットを出し、左中間にはじき返した。丸らしい、コースに逆らわない打撃で1000回目の「H」ランプをともした。中堅神里が後逸する隙を突き、一気に三塁へ。バットで、走塁で、そして後ろ姿で広島打線をけん引した。

 「昨日(29日)打てていなかったので何とか(と思った)。1000本どうとかではないですけど、チームに貢献できるようにと思っていました」

 続く6回には先頭で中堅へ二塁打を放ち、チャンスメークした。「1000本打った後にすぐ打てたので、そっちの方がうれしい」。1000安打はあくまで通過点。変わらぬ高い集中力が、1001本目の安打を生んだ。

 10年9月21日ヤクルト戦での初安打から、1017試合目で大台に到達した。「失敗したことの方が潜在的に残っている。打ち損じた球はたくさんあるし、打撃じゃないけど、エラーしたというのも残っている」。失敗が丸を成長させた。今季は右太もも裏の筋挫傷での離脱がありながら、打率3割2分3厘、13本塁打、31打点、出塁率5割4厘、長打率6割2分3厘。チームに欠かせぬ主軸となり、リーグを代表する打者となった。

 印象に残る1本は、悩んだ末に「初安打よりも、初本塁打(11年4月19日の横浜戦で大家から)の方かな。いいところで打てたというのがある」。本塁打にこだわりがあるのでなく、チームに貢献したい思いが、強い。だからこそ、節目の記録達成にも、チームの敗戦に笑顔はない。

 「いかにチームが勝つために貢献するかだと思っているので…。明日からもしっかりと自分の仕事をできるように準備して、あとは思い切ってやるだけです」。悔しさを力に変え、丸は1002本目の安打を目指す。【前原淳】

 ▼通算1000安打=丸(広島) 30日のDeNA9回戦(横浜)の3回、東から中前打を放ち達成。プロ野球293人目。初安打は10年9月21日ヤクルト19回戦(マツダスタジアム)で押本から。