西武栗山巧外野手(34)が、小児がん患者に勇気を与える活躍だ。

 患者の子供たちと保護者の20人を招待した試合に、7番DHでスタメン出場。1点差を追う4回2死一塁、右中間を破る同点二塁打を放った。7回には右中間に4号ソロ。「喜んでくれたら最高です。勝ったのが何より。何とか、ええところで打ちたかった。意欲がわいてきた。毎日来てもらってもうれしいです」と満面の笑みで振り返った。

 患者の招待は15年から始めて、今年で4年目となる。現在は年間4回程度で、この日は今年4度目だった。これだけ続けると、患者の顔を覚えてくる。この日も試合前にサイン会と記念撮影し「前より大きくなったなあと感じる」とうれしそうだった。栗山自身も子を持つ親。重病と闘いながらも成長する姿に、勇気と感動をもらっている。実際に前々回の招待試合ではお立ち台に上がり、今回は同点打&本塁打。しかも今季の招待試合は全勝とあっては「毎日来てもらっても…」の言葉は、リップサービスではない。

 ライオンズクラシックと銘打たれた試合は、前回優勝した08年のユニホームを着用して臨んだ。この日のラインアップで、08年当時から主軸なのは栗山と中村だけだ。4回は栗山が同点打を放った後に中村が勝ち越し打。「おかわりと2人でうれしかった。打ってくれと思っていましたから」。同学年で同じ関西出身。仲の良い2人が、満員のファンを喜ばせた。

 チームはここ3試合で35失点と、投手陣が崩壊状態だった。開幕から首位を走ってきたが、この日は2位日本ハムとゲーム差0で迎えていた。この日も救援陣が失点を重ね、あやうく逆転負けを食らう寸前だった。「今は自分のことで精いっぱい、必死にやっている。まだ7月。本番は先。踏ん張っていかないと」。優勝を知るベテランの力は今後も貴重になりそうだ。【斎藤直樹】