ベールを脱いだ救世主が、立ち上がった。巨人テイラー・ヤングマン投手(28)が中日打線を8回3安打無失点に封じ、初勝利をマークした。来日初登板初勝利は球団では14年セドン以来。「緊張よりも興奮が上回った。味方の援護や守備に助けられて勝つことができた」とクールに喜んだ。

 198センチの長身と、踏み出す左足を三塁側へクロスする独特の投法で惑わせた。最速147キロの直球と斜めに割れるカーブを軸に、左打者の内角へ食い込むカット気味の速球も有効活用。「低めに球を集めゴロを打たせる、自分のスタイルで投げられた」と13個のゴロアウトに納得顔だった。

 趣味は読書と旅行。「小さい時から疑問に思ったことはすぐに先生に聞くタイプ」と自己分析する。ファーム休養日の月曜には気になる名所に足を運ぶ。ある時は、昨年結婚したブリタニー夫人(26)と日曜の練習後に奈良へ移動。翌日、奈良公園で鹿とたわむれ、大阪城、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンまで観光し帰京する弾丸ツアーを敢行した。「新婚旅行は地中海の無名な島。北海道、広島、石垣島にも行きたいんだ」。あふれる好奇心は野球に通じ、2軍暮らし中も選手、コーチに質問攻め。日本野球への理解を深め、結果に結びつけた。

 イースタン・リーグで12試合に登板し7勝。不調のカミネロ、ゲレーロが2軍調整中で回ってきたチャンスをつかんだ。ヒーローインタビューで「Goジャイアンツ!」と照れながら叫んだ。チームも立ち上がらせる。【桑原幹久】

 ▼来日初登板のヤングマンが8回を0点に抑え勝利投手。巨人で外国人投手の来日初登板初勝利は14年4月9日セドン以来7人目になる。8回で降板し、15年ジョンソン(広島)以来4人目の来日初登板完封勝利は逃したものの、来日初登板が「失点0の勝利投手」は巨人史上初めてだった。